ユングで学ぶ心理学入門ユング心理学の特徴 > 個性化過程での葛藤・対立

個性化過程での葛藤・対立

ひとは、深層にある集合的無意識が救済されて、人格に統合されるに至る個性化過程を進むとき、自己の意識は耐え難いほどの葛藤や、味わったものにしか理解しえないような心理的な窮境を通過するそうです。
この個性化過程の段階を経て体験したことは、人間にとってほとんど言語に置き換えることが不可能だと感じるほどに表現困難であり、話す気にならないような性質を持っている類のものです。 

ユングはそれを夢や空想に現れるイメージ象徴として捉えました。また葛藤や対立を自己の認識に浮上させてその意味を考えることは、自己意識の安心を得るために大切な作業だと考えていました。ヘルメス哲学(錬金術哲学)にも、ユダヤのカバラ密儀にも、また西洋哲学の思想の底辺を為す所にも存在している象徴世界は、ユングにとっては無意識の領域を廻って展開されていると感じることを関連づけて表現するための、智慧と知識の宝庫だったに違いありません。




ユングで学ぶ心理学入門に戻る